B型肝炎訴訟
病態の用語集
無症候性キャリア
むしょうこうせいきゃりあ
肝臓にB型肝炎ウイルス(HBV)が感染したとき、大人の場合はウイルスを認識し排除しようとして免疫反応が起こり、ウイルスは駆除されて一過性に終わります。急性肝炎が終結すれば、免疫力ができて二度とB型肝炎にはかかりません。
ところが、出生時(母子感染)や幼少時の集団予防接種などにより乳幼児期にウイルスに感染すると、ウイルスを異物として認識できないため免疫が働かず、肝障害をおこさずウイルスに感染した状態が続きます(持続感染)。このようにウイルスに感染していても肝障害を起こしていない状態を無症候性キャリアといいます。
この無症候性キャリアの状態は一生続くこともありますが、多くの場合成長とともに免疫機能が発達し体内からウイルスを排除しようとする免疫反応が起こり、肝炎を発症します。
乳幼児期にHBVに感染した多くは、10代~30代にかけて肝炎が発症し、その80%~90%は、肝炎の症状も軽く肝機能障害も進行しません。自覚症状が出ることもほとんどありません。この時血液中では、HBe抗原が消失し、HBe抗体が出現します。HBe抗体が出現することは基本的にHBVウイルスの増殖力が低下したことを意味します。
しかし、約10%~20%の方が慢性肝炎に移行し、さらにB型慢性肝炎が長期化すると、肝硬変や肝がんへと進行する危険性があります。そのため、無症候キャリアの方は、定期的に肝臓の検査を受けることが大切です。