B型肝炎訴訟
症状の用語集
羽ばたき振戦
はばたきしんせん
羽ばたき振戦とは、自分の意思とは関係なく、手や指が勝手に震える症状のことです。
「振戦」とは震えのことですが、手のひらを前に向けた状態で、両腕を前に伸ばす姿勢を保持できずに手がバタバタしてしまう動作が、鳥の羽ばたきのようにも見えるため、このように名づけられました。
振戦は、ストレスやアルコール、さまざまな病気によって起こりますので、その機序(メカニズム)を解明して、原因を特定していくことが重要です。
羽ばたき振戦の原因のひとつに、肝性脳症があります。
肝性脳症は、有毒物質であるアンモニアが血中に蓄積され、それが脳に達することによって起こります。その結果、筋肉や神経をコントロールすることができなくなり、手や指が勝手に震えてしまうのです。
アンモニアは、腸内でたんぱく質やアミノ酸が分解されたり、アミノ酸がエネルギーとして代謝されたりするときに作られます。作られたアンモニアは、肝臓で無毒な尿素に変換され、尿として排泄されます。
ところが、重度の肝硬変になると、この機能が低下し、アンモニアの産生と消費のバランスが崩れてしまいます。
まず、肝臓のグリコーゲン貯蔵が少なくなり、短時間で飢餓状態に陥ります。飢餓状態になると、体内のアミノ酸代謝が上がり、アンモニアが過剰に作られます。
さらに、肝機能が低下していますので、アンモニアを尿素に変換することが十分にできなくなり、どんどん血中のアンモニアが蓄積されてしまうのです。
肝性脳症を発症しているかどうかは、血中アンモニア値やBTR(総分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比)などの血液検査、脳波検査、肝性口臭の有無によって確認することができます。